完了するまで見届ける
いろいろな場面で、完了するまで見届けるということはとても大切です。
完了するまで見届けるというのは、文字通り「作業が完了する(できる)まで見ている」ということですが、時には声をかけたり手伝ったりしながら完了するところまで支えてやる、ということでもあります。
また、決まりやマナーが守れるようになるまで追いかけ続ける、ということでもあります。
例えば、
・自分で服を着る
・オモチャを片付ける
・人を押したり引っ張ったりしない
・座って食べる
・ドアを開けたら閉める
などなど。
こうしたことができる(ようになる)まで見守り支え続けることで、良好な親子関係を作り、子供の学びを助けることができるようになります。
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ある日、
とーさんのママ友の1人から、子供に手を焼いているという話を聞きました。姉弟の下の子が、上の子のものを無理やり取ろうとしていつもケンカになるとのこと。
お姉さんが5歳、弟は3歳です。
家族でウチに遊びに来た時に、聞いていた通りの展開が何度も繰り広げられました。
「こういう時って、どうしたら良いんですか?」
今までに散々手を尽くしても改善が見らないらしく、途方にくれるママさん。
確かに、いくらママさんが叱ってもたしなめても、その場がすぐに収まる様子はありません。時間が経てばそのうちウヤムヤに静まるのですが、しばらくするとまた同じことが起こります。
こう言ってはなんですが、小さい子の兄弟ゲンカって、多くの家庭で毎日繰り返しているものじゃないのかなーと思います。だからとーさんには、それほど困ったり悩んだりする問題でもないように感じました。
とはいえ、当のママさんが困っているのですから、なんとかした方がいいです。ママさんが明るく元気で笑っていることが、子供にも家庭全体にも重要ですから。
さて、
そこで具体的な対処方法をいくつか提案してみました。が、ママさんはどれもピンとこない様子。察するに、どの方法も今まで試してきていて、それでも上手くいかないので困っているのでしょう。育児書も読んだと言っていました。
ほんの数日拝見しただけなのですが、ママさんの子供に接する態度は毅然としていて、子供のケンカへの対処方法もそんなに困った状況を招くようなものではないように見えました。
では、どうして改善しないのでしょうか?
ここからは、とーさんの勝手な推測です。
おそらくそのママさんは、ツメが甘いのではないでしょうか。
方法は良さそうでした。ただ、完了するまで見届けていないために、その方法がうまく働いていないのではないかと考えられます。
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こんなことがありました。
姉弟でオモチャの取り合いになると、そのママさんは間に入って「順番に使うんだよ!」と説得しました。が、子供は両者とも説得に応じません。
そこでウチのかーさんが、「じゃ、時計の針が6のところに来るまでお姉ちゃんが使おうか。時計の針が6のところに来たら、弟に交代だよ。」と言うと、この提案には応じました。
あれ?かーさんのこの方法、良いんじゃないの?と思いましたが、ママさんが同じことを提案しても応じないようです。
じゃ、自分の母親の言うことは聞かないけれど、よその人の言うことは聞くってこと?
そういうことです。
実際、二家族で一緒にご飯を食べる時に、テーブルについてもオモチャの飛行機を手放さない弟に、「ご飯を食べるときは、オモチャで遊ばないんだよ。片付けなさい。」とママさんが言っても聞きませんでしたが、ウチのかーさんが言ったらオモチャを手放しました。
親の言うことは聞かないけれども、よその大人や先生の言うことは聞く、
こういうケースを時々お聞きします。
なぜか?
理由として当の親御さんたちから聞くのは、
1)自分の親からは、言われ慣れていて効き目がない。
2)親には甘えられるから、言うことを聞こうとしない。
というもの。
1は、認識が間違っています。
「言われ慣れて」いるから効き目がなくなる、と言うことはありません。
例えば、
「外から帰ってきたら、手を洗うんだよ」と言われるたびに手を洗っていた子が、あまりに「言われ慣れて」、ある日を境に手を洗わなくなる、ということはないでしょう。
「ご飯は残さず食べましょう」と言われて、好き嫌いせずいつも全て食べていた子が、あまりに「言われ慣れて」、だんだんと食べ残しをするようになる、ということはないでしょう。
「言われ慣れて」しまったことが原因ではありません。他の原因を探るべきです。
2は、おそらく正解です。
ただこの見解は、「甘えられる」と子供が認識するようになった理由を言い当てていません。
子供が甘えるようになった(言うことを聞かなくなった)理由は、親のツメが甘いということです。親が完了するまで見届けていない、ということです。
先ほどのママさんの話に戻ると、彼女は
「オモチャは順番に使うんだよ」と言いながら、順番に使わせることができず、力の強い方にオモチャを独占させたことがあるのではないでしょうか。
あるいは、
「ご飯の時は、オモチャで遊ばないんだよ。片付けなさい」と言いながら、根負けしてオモチャを片付けさせなかったことがあるのではないでしょうか。
はたまた、
「じゃ、横に置いておいていい?」とか、「ポケットに入れておいていい?」などと、一度引いた線(決まり)を子供からググッと詰め寄られて線を手前にずらした(妥協した)ことがあるのでは?
「もー、しょうがないなぁ。」と、言ったり思ったりしたことがあるのではないでしょうか?
これを繰り返していると、「順番、順番って言うけど、ママはどうせ最後には諦めるんだ」と子供は学習していきます。そして、オモチャを順番に使うように促しても聞き入れなくなったり、オモチャはポケットに入れて(そして時々取り出して遊びながら)ご飯を食べるようになったりします。
さらには他の決まりについても、ママの言葉は力を失っていき、子供たちは言うことを聞かなくなります。
子供は親をよく見ています。
子供の目は、ごまかせません。
ウソやごまかし、曖昧さや甘えがあると、子供はすぐに見抜いてしまいます。
そして自分が楽な方、楽しい方に、決まりのラインを押し詰めてきます。親に妥協を迫ってきます。
子供って、ほんとーに鋭くてコワイ。
だからとーさんは、子供に妥協することはありません。言ったことは最後まで実行するし、実行させます。とーさんができなさそうなことは、言わないようにしています。
また、「できるのにしない」という甘えは受け入れません。(もちろん、できないことはそもそも要求しません。)
食べられる(とわかっている)ものは最後まで食べさせます。
「クツは自分で脱ぐんだよ」と言ったら、自分で脱ぐまで待ちます。
「今日は5冊読むよ」と言ったら、本読みは5冊で切り上げます。
「アンパンマンはこれで最後だよ」と言ったら、その1話が終わった時点でテレビを消させます。
言ってしまった後で、「あ、ちょっと厳しすぎたかな・・・」と、泣く子を前にして少し後悔することもありましたが、そこで妥協したらとーさんの言葉は力を失い、決まりはユルユルになります。
親の言うことを子供が聞き入れなかったら、子供は大事なことを学ぶ機会を失います。
決まりやマナーの基礎を学ばずに成長したら、その子はいつか周りの人たちから嫌がられたり排除されたりするようになります。
危険な行為や場所を学ばずに成長したら、その子はいつか危険にさらされることになりかねません。
・・・という一方で、恵美が3歳になった頃から、交渉と妥協の余地は残すようにしています。甘えたい時や気分が乗らない時だってあるでしょう。人の言うことを無思考に受け入れる傾向を持ってしまったら、楽しく生きていけないでしょう。とーさんにぶつかってくる頑固さやたくましさも、持ってほしいと思います。
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親の機能は2つあると、とーさんは考えています。
その2つとは、
1)守る
2)育てる
です。
1は、
美味しく栄養のある食べ物を与え、
気温にあった衣服を着せ、
うがいや手洗い歯磨きの習慣を身に付けさせ、
悲しい時に話を聞いてやり、
寂しい時にそばに寄り添い、
痛い時には必要な処置を施す
といった機能です。
2は、
我慢の練習をさせ、
人間関係や社会の決まりを教えて守らせ、
楽しいことや興味深いことを一緒に体験し、
困難にぶつかったら励まし助言して、
挑戦を陰で見守り、
できたら褒めて一緒に喜び、
次の課題を一緒に探し考え、
人の生き方や世界の在りようを示したり感じさせたりする
といった機能です。
どちらの機能をどのくらい持つかは、親の性格や資質によるものです。どちらかを選べるというものではありません。
「守る」性向が強い人もいれば、弱い人もいます。
子供の将来のために、子供がどんなに泣いても完了するまで見届けることができるのは、2の性向の強い人です。
1が強くて2が弱い人は、たとえ将来を見据えて子供に必要なしつけであっても、目の前で泣いている子供を放ってはおけません。「泣き止ませること」に一生懸命になります。
そうして守ってくれる人がいるからこそ、子供は安心して暮らすことができます。が、それだけでは、子供は成長する機会を逃してしまいます。バランスが大切ですね。
とーさんは「育てる」ばかりが強いので、かーさんが強く「守る」人なのはとても助かります。とーさんは、まったく守れません。
前述のママさんは、厳しい姿勢を持っていますが、どこかで「守る」性格の強い人なのだと思います。旦那さんと力を合わせて、今よりももっと楽しい家庭になっていくといいですね。