娘へ

あなたはこうしてできています

0-4才まで読み聞かせをして、考えたこと

オーストラリアで生まれ育つ子供たちに日本語を身につけてほしいので、日本語での本の読み聞かせをずっと続けてきています。自分自身が本好きで、子供にも本を好きになってほしいという思いもあります。

2020年4月で、恵美4才、和美2歳になったので、とーさんの読み聞かせも4年になるわけですね。

スポーツでも料理でも、4年も続ければ上手くなるものですが、自分の本読みは相変わらず4年前と同じことを繰り返しているだけで成長がありません。ですが、聞く側の子供はどんどん成長します。すると、子供が0才の時にはわからなかったことが、4年間の子供たちの成長や反応から見えてくるんですね。今の気づきを、4年前の自分に教えてあげたい。

 


何に気づいたかというと、

1.0才から難しい本も読んだほうがいい

2.年齢相応の本は必要

3.長子への読み聞かせを優先する

4.本は山ほど必要

 


当たり前なことばかりですか?かもしれませんね。でも、こうしたことが父親1年めの自分はよく分かってませんでした。特に1点目は、4年前に仮説はあったけど実証はできるはずがないので、今ようやく「これは大事だ」と言えるようになりました。

今回のエントリはこの1点目についての詳細と、2〜4について少しだけ書きます。

 

 

 

1.0才から難しい本も読んだ方がいい

 

絵本の後ろを見ると、「読み聞かせるなら4才から」のような推奨年齢が書かれているものがあります。「語彙力や内容の理解力を考えると、4才くらいから読み聞かせてやるのが適当でしょう」ということです。とーさんはこの推奨年齢をまったく気にせず(というか、4年前はこの表記があることすら知らず)、子供が0才の時から4才むけや年長さん向けもどんどん読み聞かせました。もちろん、易しい本も読みましたが、難しい本を読んでいる時間の方が圧倒的に長かったです。


で、結果的に良かったと思っているのですが、その理由は3つあります。

 


①長時間、読む(聞く)ことに慣れ、インプットの量を確保できる

 幼児向けの本は文字数が少なく、読むだけであれば1冊に1分かかりません。一緒に絵を見て言葉を教えたり、絵から想像して話を広げたりする楽しみ方もありますが、とーさんはそういうのが苦手です。なので、文字を読んで終わりです。5冊読むのに5分もかかりません。15冊読んでも、10分くらいにしかなりません。

 対して、難しめの本はたいてい長いです。1冊読むのに5分〜15分ほど、3冊もあれば20分以上読み聞かせができます。恵美が0才当初から言葉のインプットの量を確保したいと思っていたのですが、あいにく本が簡単には手に入らない環境。必然的に、数冊ばかりの難しめの本を繰り返し読むことになりました。

 姉妹は2人とも、長時間本を読むことに慣れています。それは、0才や1才の時から長い(難しめの)本を読み聞かせしていたからかもしれません。現在は、1冊読むのに40分かかる「ゾロリシリーズ」でも、2人とも身動きせずに最後まで聞いています。おかげで、これまでのインプットの量だけを考えると、結構多い方だと思います。

 


とは言え、「長時間読み聞かせしても、話の内容も言葉の意味も分からないのでは、意味がないのでは?」と思われるかもしれません。だけどとーさんは、下の2点については意味があると考えています。

 


②文法や文構造に慣れる

日本語では省略されることが多いですが、多くの文が、「主語は述語だ/主語が述語する」のような形でできています。文の中に知らない言葉がいくつか入っていたとしても、何度も何度も聞いていれば、文の構造そのものは分かってきます。

日本語の語彙はゴマンとありますが、文構造のパターンは限られているので、慣れてしまうのはそれほど難しくはないでしょう。

 


また、例えば

「だから、すると、〜時に」などの接続(助)詞も何度も出てきて、少なくとも「そういう言葉がある」ということを知ることができます。意味や使い方はその時点では分かりにくいでしょうけど、絵本の役目はそこまででも大丈夫。

やがてその言葉を、とーさんが使ってたりとかアンパンマンで聞いたりなどして、少しずつ意味と使い方を理解していきますから。

 


他にも、

普段の会話では省略されることの方が多い助詞も、書き言葉では使われていることが多くあり、「てにをは」に慣れてきます。

オーストラリアで生まれ育つ恵美と和美には、助詞は重要な点。なぜなら、大学受験のセンター試験的なテストで日本語を選択するとしたら、助詞が適切に使える必要があるからです。

海外で日本語に触れるのは会話が中心で、読み書きすることはあまりありません。なので、普段の生活だけでは助詞に慣れません。だから、絵本などで意識的にたくさん聞かせるようにして、助詞が感覚的に使えるようになってほしいと思っています。

 


以上のように、難しめの本を読むことで、日本語の骨組みのようなものがしっかりとできてきます。骨組みができたら、普段の会話でも、適切な文法で、(単語だけでなく)文で話せるようになります。

ここからは、家を作る段取りで言えばドアや窓をはめたり、壁を入れたりする作業が必要になります。

それが、次の点です。

 


③表現の幅が広がる

難しい本に出てくる語彙は、幼児向けの本と比べてかなり多いです。意味と結びつかない言葉は記憶に残りにくいので、その多くは右から左に流れて行くだけかもしれません。

ですがその中でも、理解し定着しやすいものがあります。それは、動詞と形容(動)詞です。

 


なぜなら、動詞や形容詞は

・数が限られていて、同じものが何度も出てくる

・登場人物の絵の動きや様子と結びついている場合が多い

・実生活でもよく使う

からです。

 


名詞はたくさんあるので、分かりにくいものもどんどん出てきて理解が追いつきません。だけど、数が少なくて何度も出てくる動詞なんかは、名詞に比べたらはるかに理解しやすいでしょう。

 


文末表現も、同様の理由で理解と定着が易しいと思います。

文末表現というのは、例えば「〜してしまう、〜なんです、だろうか、〜なんだって」などの、文の締めくくりにもう1つ意味を添える表現のことです。

子供の話し言葉で文末表現に幅が出てくると、幼児っぽさが抜けてきたなと感じます。

 

 

 

以上が、0才から難しい本も読んだ方がいい3つの理由でした。

以下に、とーさんのその他の気づきを少しずつ書きます。

 

 

 

2.年齢相応の本は必要

絵本はそもそも、読んで楽しむのが一番の目的です。なので基本的には、子供が楽しめる(少なくともイヤではない)本を読んでいます。

ちなみに、年齢相応の本は言葉が理解しやすいので、読むほど子供の語彙が増えます。難しい本で骨組みを作り、易しい本で肉付けするというパターンがベストですね。

 

 

 

3.長子への読み聞かせを優先する

読み聞かせはなるべく1人ずつしていますが、2人分の時間が取れないときは恵美にだけ読んでいました。恵美の言葉が上達すると、それを和美が普段の会話で引き継げるからです。

かーさんの仕事の都合もあり、和美には1才になるまで読み聞かせはしていませんでした。それでも、恵美の影響を強く受けて、和美の言葉は2才でかなり達者になりました。

 

 

 

4.本は山ほど必要

子供は同じ本を何度も読むのが好きだし、言葉の上達には効果的です。が、1日に最低5冊、多ければ15冊読む日もあったので、親子共々さすがに飽きます。

この4年間、一時帰国のたびに買い足して、今では家に350冊くらい。友人や図書館で借りた本を合わせたら400冊以上を読んでいて、それでも足りません。

恵美が生まれたばかりの帰国時に買ったのは、たった4冊だけ。貴重な帰国なのに、もったいない。「もっと買っておけ」とその時の自分に教えたい。

 

 

以上が、とーさんが4年間読み聞かせをしてきて気づいたこと(で、たぶん当たってると思ってること)です。当たり前のことばかりかもしれないけど、恵美さんも和美さんもママになったばかりの時は分からないかもしれないので、参考になるといいなと願ってます。