娘へ

あなたはこうしてできています

子供はどんどん比べましょう

「やっぱ、子供って比べてしまうでしょ?」

「えー?ダメですよ〜!」

3年くらい前かな、恵美がまだ1才くらいの時のこと、ママ友2人と話していて2人から秒でダメ出しされました。時々こうして人からダメ出しされる残念な大人が、とーさんです。

 


「子供を比べるのは良くない」としばしば目にします。そうですよね、だって

「お友だちは自分でトイレに行けるのに、どうして恵美はできないの?」

などと親がため息をついたり、叱責してきたりしたら、子供はこの世の終わりくらいに悲しく落ち込むでしょう。

自分はダメな子だと思い込み、親に見放されないかと不安になり、友だちには嫉妬やライバル心を燃やし友だち関係が屈折してしまいそう。

ましてや姉妹間で比べて、「お姉ちゃんはあんなによくできるのに・・・。」などと妹に言ったら、妹は家での居場所がなくなってしまいます。

 


「子供を比べるのは良くない」というのは、よーくわかります。

でもね、みんな子供を比べていないのかな?

 


例えば、自分の子供は

・十分に睡眠を取れているのか?

・バランスよく何でも食べているのか?

・トイトレが上手くいってないかも?

・言葉が遅い(早い)?

・イヤイヤ期のかんしゃくがひど過ぎない?

・習い事した方がいい?何を何才から?


こうしたことが気になったら、ネットで専門家の話を読んだり、ママ友のお子さんの様子を聞いたりするでしょ。プレイグループや公園で遊んでいる時に、よその子の食べ方や話し方を見てしまいますよね。

そうすることで、

より良い(より自分の子に合った)寝かしつけや調理方法を学ぶだけでなく、

「ウチの子は平均よりももっと寝てるな」とか「あの子も、うちと同じでトイトレ苦戦してるんだね」などと安心したり、

「ウチの子は言葉が遅い?〇〇ちゃんはもうあんなにお喋りが上手なのに」と焦ったり、

「ウチの子は周りの子よりもいろんな野菜を食べてて、すごいじゃん」と、ちょっと嬉しくなったりするものじゃないでしょうか。


その上で、

「寝かしつけは大丈夫。トイトレの方法を少し変えてみよう」と方法を確認・改善したり、

「何才でどれくらい話せるものなのかな」とより詳しく調べたり、

「恵美は何でも良く食べて、すごいね!」と盛大に褒めたりするのだと思います。

 


比べることで、

自分の子供が今どこにいるのかがわかります。また、

自分の子育てが客観的に見えてきます。

 


気になったことをネットで調べるのもママ友に質問するのも、我が子や子供や自分の方法を比べているんですよね。これをしない人はいないと思います。さらに言えば、親御さんは誰だってよその子供を見た時に、どこかで無意識に自分の子供と比べているものだと思います。

とーさんは子供や自分を比べないで子育てできるほど、自分のしていることや考えに自信がありませんよ。

 


比べることそのものは、問題ではありません。むしろ、必要なことです。

では、どうして「比べるのは良くない」と言われるのでしょうか。

それは、比べた結果

・否定的な結論に行き着き

・それをそのまま子供に伝えてしまう

という悪いパターンに陥るケースが多いからでしょう。

 


子供を比べるのは問題じゃないです。

比べて導き出した結論とアウトプットが問題なんです。

 

 

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比べる時の流れは、下のような感じでしょう。

 


①インプット(調査、聞き取り、観察)

ネットで調べる、ママ友に聞く、他の子供を観察するなど。


②比較(情報の分析と判断)

集めた情報を、自分や子供に照らし合わせてみて、どういう事なのかを考える。


③アウトプット(フィードバック、改善)

比較した結果や自分の考えを子供に伝えたり、自分の考えや行動を変えたりする。

 

 

 

改めて問題を2つ確認します。

 


1つ目は、

②比較の時点で自分の子供に不利な情報ばかりを拾い上げ、「だから、ダメなんだ」という否定的な結論を出すこと。

子供を比べるって、自分の子供のできないところを見つける作業になりがちなのではないでしょうか。

すでに持っているものには感謝しなくなるのと同じで、「良いこと、できたこと」は、「もう済んだこと、クリアしてしまったこと」として忘れてしまいがちです。そして、「ないもの、できないこと」ばかりが気になってしまうものです。


ただ、この時点で否定的な結論を出しても、まだ大丈夫です。「では、何ができるか。どうしたらいいのか」を考え、実行していけばいいのですから。

 

 

2つ目は、

③アウトプットする時に、否定的なフィードバックをしてしまうこと。これが本当にまずい。

②で否定的な結論に行き着いて、イライラしたまま子供にぶつけてしまうパターンです。(きしもとたかひろ氏の表現を借りれば)こんなの、ナイフで子供を刺すのと同じ行為です。刺した直後に我に返ってすぐに傷口を押さえても、流れる血を止めることはできますが傷を治すことはできません。このことを親は肝に命じておいたほうがいい。

問題はたいてい親である自分の問題であり、自分の責任です。自分の考えと行動を変えることで、子供の変化を促したり待ったりすれば良いでしょう。


例えば、

子供がブロッコリーを食べたがらないのであれば、

・調理方法を変えてみる

・親が美味しそうに食べてみせる

・他の方法を調べる

・食べたくない時や時期もあると考える

・食べなくてもいいと考える(そもそも問題ではないから)

 


遊んだ後でいつも出しっ放しなら、

・一緒に片づけてみる

・最後の1つだけ片付けさせる

・親と競争(ゲーム)のようにして片付ける

・音楽をつけて片付ける

・おもちゃ箱や棚を工夫して片付けやすくする

 


他にも

友だちとおもちゃを順番に使えなかったら、

ご飯中に立ち歩いてしまうのなら、

言葉遣いが悪かったら、

物を投げたり蹴ったりするようなら、

すぐウソをついてしまうようなら、、、

 


事例はいくらでもあります。

こうした問題が気になった時に、他の子供と比べて、

「どうして〇〇はブロッコリーがたべられないんだ?」

「お友だちはお片づけが上手なのに。」

などというセリフは、まったくもって不要ですよね。自分が考えと行動を改めればいいんです。自分が変わるんです。子供ではありません。

 

 

否定的な内容だけれども、どうしても子供に伝えなければならないこともあるでしょう。

その場合は、伝え方に工夫が必要です。よく言われるのは、「良いこと、悪いこと、良いこと」のサンドイッチで伝える方法。

他にも、

・肩を抱いたり手を握ったりなど、身体に触れながら伝える

・しゃがんで、目線を合わせて伝える

・共感を示してから伝える

などなど、ネットで調べればいくらでも良い方法は見つかります。

 

 


さて、これまで子供のマイナス面をどう扱うかばかりに触れてきましたが、比べることでプラス面が見つかることも多いです。というか、プラス面にばかりアンテナを張っていれば、プラス面ばかり見えてくるものです。

子供ができること、良かったことなど、肯定的な内容はどんどん子供に伝えて盛大に褒めると良いですよね。褒められれば嬉しいし、もっと頑張ろうという気になります。自分の気づいていなかった良い面を知り、自己肯定感が強まることも考えられます。

比べると子供のプラス面が見つかり、どんどん褒めることができます。

比べるって、良いじゃないですか!

 

 

 

価値の有無や評価の良しあしが分かりにくい物事については、比べることでより良く理解することができるものです。

例えば、世界的な名画を見ても、とーさんにはそれが良いのかどうかはサッパリ分かりません。ですが、もう1つの絵を隣に並べて比べると、「こっちの方が色使いがきれいだ」とか、「そっちの方が雰囲気が好きだ」などと、つたないながらも自分なりの評価ができるようになります。

さらにもう1つ絵を並べて比べると、自分なりの評価はもう少し深みが出ます。さらにもう1つ、さらにもう1つと、たくさんの絵を見比べていけば、次第に評価する目が養われ自分なりの評価基準が固まってきます。そして最終的には、1つの絵を見ただけで評価をしたり、値打ちを推測したりすることができるようになります。クラシック音楽やワインなども同様でしょう。

その道のプロがたった1つの作品を見ただけで評価をくだせるのは、過去に鑑賞してきた何百、何千もの作品とその1つを比べているからです。比べずして「これは素晴らしい作品だ!」と決定的な評価を下せるのは、天才だけです。

 


親は誰だって、人間の心や体のような深くて複雑で分りにくいモノを相手にしているんだから、しかもそれが日々変化していくのだから、そしてほとんどの親が親としては「初心者」なのだから、子育てするにあたっては比べることがどうしたって必要です。あの子とも比べ、この子とも比べ、きょうだいでも比べることで、やっとその子のことが見えてくるんです。見えてきて初めて、その子に合った子育ての方法や内容が分かるんです。


だから子供は、どんどん比べましょう!