娘へ

あなたはこうしてできています

言語学習の目的と目標

とーさんが今のところ考えている、日本語学習の目的と目標をまとめてみます。

 

目的:

・家族と日本語で不自由なくコミニケーションが取れるようにする。

・面白いものを見つけた時に、自分で日本語を使って探求し楽しむことができる基礎を身につけておく。

 

目標:

・12歳(小学校卒業)までに

・小2までの漢字の読み書きができる

・日本語でタイピングができる

・漫画を自分で読める

・アニメを楽しむことができる

・メールやSNSで日本の家族や友達とやりとりできる

・ネットで調べ物ができる

 

 

 

目的と目標は、同じような意味合いで考えられていたり、あるいは混同されていたりする事がありますが、2つは違った性質を持つので分けて考えた方がいいです。

 


目的= したいこと、ゴール、「どうして、何のために」

目標= 目的を達成するための方法、通過点、「何を、いつまでに、どのくらい」

 


目的は(自分のしたいことが変わらない限りは)ずっと変わらないのですが、目標は自分や環境の変化とともに変わります。

例えば、「キレイになりたい」とか「健康的な体重まで減量したい」と思っている(=という目的を持っている)人は、「5キロ痩せる」「毎日30分歩く」「酒をやめる」などの目標を立てて実行します。でも、実行していくうちに、「5キロじゃダメだな。8キロ痩せないと」とか、「仕事が変わって毎日は無理なので、週3で1時間ずつ歩くことにしよう」と変えることもあります。ゴール(目的)は常に一点で変化しませんが、そこにたどり着くための道筋や方法(目標)はどのようであっても良くて、柔軟に変えていくことができます。

 

 

 

まず目的を考える

 

オーストラリアでは、日本人のお母さんだけが日本語教育に熱心で、子供やお父さん(オーストラリア人)は日本語をそんなに必要だと思っておらず、お母さんが家族の中で孤立してしまうということがよくあります。

問題は、日本語学習の目的がないか、あるいは目的を家族のみんなが理解し納得していないことです。日本語学習の目的が明確であり、そのための達成目標が明確であれば、子供のモチベーションを維持する助けとなり、お父さんも納得させることができると思います。ゴールが見えた方が、歩こうという気になります。


子供の言語学習を考えるときは、まず目的を考えることが重要です。目的が定まっていると、必要以上に頑張ってしまう(ことで時間を無駄遣いし他の機会を失う)ということが起こりにくいし、目標が設定しやすくなります。

言語学習は、とにかく時間と労力がかかります。イマージョン教育の第一人者、中島和子さんによると、「外国語に堪能になるためには、幼稚園から始めて約5,000 時間必要といわれています。これは英語を第一言語としている者がフランス語を学ぶ場合の結果ですから、文法構造の違う言葉を学ぶ場合はもっと時間がかかると思ったほうがよいでしょう」とのことです。

ここで言う5000時間というのは、授業時間のことで、カナダでのイマージョン教育から得られた見解です。「0歳から家庭では日本語を使い続け、3歳くらいに英語の幼稚園を始める」というウチの場合とはだいぶ様子が違いますが、5000時間は参考になる数字です。

ちなみに、オーストラリアで土曜日の日本語学校に通った場合は、幼稚園から中三まで11年間学んでも、2,772時間(一日6時間×年42日×11年)です。中学を終えるまで土曜日も学校に通い続ける(そして毎週宿題をこなし続ける)のは、本当に厳しいと思います。11年間通いつめるべきか小学校の終わりまでにするかなど、どこまで頑張る必要があるのかを、言語学習の目的を考えることで見極めることができます。


ちなみに、上に書いた目的はとーさんの目的であって、子供たちの目的ではありません。子供たちの目的は、自分でいつか考えるたらいいでしょう。考えなくても、それは自由です。ただ、自分で考えられるようになるまでには、必要最低限の日本語と韓国語の力を持たせてやりたいと思います。

あまり言語学習にばかり力を入れすぎて、他の楽しいことの邪魔をしないように気をつけますね。2人の人生は、とーさんの人生ではないですから。

 

 


目標は変わる

 

テクノロジーの発展で、今後、目標は大きく変わる可能性があります。

アップル社CEOのクックさんはAR(拡張現実)に期待していると言い、2020年には眼鏡タイプのデバイスを発売しようとしているようです。グーグルグラスは一般向けには普及していませんが、デザインや機能のパッケージングが上手いアップルが眼鏡タイプのデバイスを発売したら、その後は次々に安価な類似商品が現れて、利用者は格段に増えることが予想されます。


ARが社会実装されたら、外国語の本もメガネをかけて読むだけで、翻訳で読めるようになるでしょう。漢字はフリガナが表示された状態で見えるようになったり、本の文字を目で追うだけで目線の先の文字をカメラが読み取り、音声化してくれるような機能も出てくるかもしれません。

「英語ー日本語」間の機械翻訳はまだまだ発展途上ですが、お互いに似た言語の「英語ースペイン語」間の機械翻訳はすでに人間の翻訳よりも優れているらしいです。

こうしたテクノロジーの発展で、言語学習の目標はハードルがどんどん下がっていきます。2019年現在、外国語で暮らしている限りにおいては漢字は書けなくても不便ではありませんが、漢字が読めないのはとても困ります。

が、

今後は海外で暮らす人にとって、漢字が(自分の力で)読めなくても(機械が読んで教えてくれるので)大丈夫という時代になるのかも。

それどころか、日本語をはじめ外国語は、学ぶ必要はなくなるのかも。


そんな時代が来たとしたら、子供のうちに身につけておいてほしいのは、生活レベルの言語力です。

機械翻訳がどんなに正確に意味を伝えられるようになっても、誰かと面と向かって話をするときには、間に機械を挟まない生の声の方がいいでしょう。直接、会話ができる人と、機械翻訳が必要な人とでは、どちらが友達になりたいか、という程度の理由なんですけどね。人間のAIに対する優位性は、直接のコミュニケーションだと言われています。

 

生活レベルの言語力というのは、

基本的な語彙と文法を自然に使いこなせ、

流暢に話すことができ、

音を正確に聞き取れる

といったところでしょう。

これだけの力があれば、その後、好きな時に自分の力で必要なだけ、その言語を学ぶことができます。

 

というわけで、言語学習の目的は冒頭の通り

・家族と日本語で不自由なくコミニケーションが取れるようにする。

・面白いものを見つけた時に、自分で日本語を使って探求し楽しむことができる基礎を身につけておく。

 

 

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2020年、日本は5Gが使われ始めます。5Gが世界中に行き渡り、デバイスとアプリの開発と普及が進んだら、今とはだいぶ違う生活環境になります。

4Gまでは、二次元の画像や映像をやりとりするため、スマホが最適なデバイスでした。4Gの50〜100倍の通信速度となる5Gは三次元の空間伝送が可能なため、違った形のデバイスが現れます。それが眼鏡型なのか、コンタクトレンズなのか、あるいはまったく違う何かなのか。

iPhoneが2007年に発売されて12年になりました。次のデバイスをみんなが当たり前のように使うようになっているのは、2030年くらいでしょうか。

 


いつか、通信は全てクラウドと空間伝送で可能になって、手元にデバイスのようなモノがなくても、空間をタップするだけでそこに画面が現れて通信できるような時代が来るかしら。「昔はスマホなんて重いもん持ち歩いてたよね」なんて言ったりして。


いつか、身体に埋め込んだマイクロチップで買い物の支払いをするようになったり、映画マトリックスのエージェント・スミスが柔術を脳にダウンロードしてマスターしたように、外国語もアプリストアで見つけてダウンロードする時代が来るかしら。とーさんの孫は「学校って、どんなサイト?そこでダウンロードしてたの?」なんて言ったりして。