共感から解決、改善まで
問題が発生してから、とーさんが取る行動の順序です。
1 共感と安心
2 原因
3 解決
4 改善
もう少し書き加えると、
1 共感と安心
共感を示し、安心させる言葉をかけます。このことで、子供の気持ちを落ち着かせ、話をする態勢を整えます。 共感と安心は、どちらが先の場合もあります。
2 原因
安心したところで、問題の原因を一緒に考えます。
3 解決
原因がわかったら、解決方法を一緒に考えて実行します。
4 改善
またいつか起こらないように、今からできることを一緒に考えます。
いつも全部するわけではありません。場面に応じて必要な行動をとります。ただ、どのような場面でも、まずは共感することが大切です。共感があって初めて、問題解決へスムーズに進めるようになります。
共感が大切であるにも関わらず、そこを飛ばして2や3から入る人が多いように思われます。しかも悪くすれば、純粋に原因を探ろうとするのではなく、「どうしてそんなことをしたの!?」とイライラして子供を責めたりすることもよくあります。そして、「こんなこと、もうしないの!」「こうすれば良いでしょ!」と叩きつけるように解決方法を押し付け、幕引きになったり。。。とーさんはこういうやり取りを見るたびに、子供がかわいそうで心が痛みます。
2、3、4は「一緒に考える」というように書きましたが、子供が自分で考えてアイデアを出せることは稀です。なので、選択肢をいくつか出して選ばせるなど、「自分で考えた」という気持ちにさせるようにしています。
「自分で考えた」(と感じている)アイデアは、記憶に残りやすいし、実行しようという気になるからです。与えられた(と感じている)アイデアには、あまり興味や責任感が起こりません。それと、「自分で考えた」という自信をいろいろな場面で少しずつ積み上げ、自分のアタマで考えられる(という自信を持つ)ようにさせるためです。
3歳の現在では未来のことを考えるのは難しいようなので、改善方法はたいていこちらから提示しています。
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具体的な場面で、どのように対処するかを書き出してみます。
例1)子供が石垣から落ちて、ヒザをぶつけて泣き出したとき
1 共感し、安心させます
「ヒザ、痛いな!ぶつけてしまったなー!おー、痛い痛い!」
「でもね、大丈夫だよ。傷もないし、これならすぐ痛くなくなるよ。痛いの痛いの、飛んでけ〜!」
2 原因を一緒に考えます
「どうして落ちてしまったんだろうね?滑った?何かにつまずいた?あー、そうか。つまずいたんだね。あそこは、デコボコしてるもんな。」
3 解決方法を考えます
「あそこはデコボコしていてつまずきやすいんだけど、どうしたら良いと思う?よーく足元を見て歩く?とーさんが下でついて歩くか?あっちの石垣なら大丈夫かな?(子供が返事をする)そうか、わかった。じゃ、今度は足元をよーくみながら歩くんだね。そうすればデコボコがよく見えて、つまずかないもんな。良いじゃん、そうしよう!」
この例のように共感するのは、ダメージが大きかった場合に限ります。ダメージが小さいのに「痛かったねー!」と大きく反応したら、子供を痛がりにしてしまいます。ケガが軽くてそれほど痛くもなさそうだったら、安心する言葉だけかけます。「転んだら自分で起きる」をご参照ください。というか、そもそも「ダメージが軽い場合」なんて、こんなにアレコレ手をかけませんね。
この場面で共感が大事なのは、本当に痛いときに自分がどう声をかけてほしいかを考えるとわかると思います。
例えば、足がもげるくらい痛いときに、
「いてー!」→「大丈夫、大丈夫。」→「や、いてーし。」って、人によっては不愉快になりませんか?
「いてー!」→「そうだよね、痛いよね。でも、大丈夫だよ。」→「そーだよ、いてーよ。でも、大丈夫なのかな。」
となるかはわかりませんが、少なくとも痛みを理解している人に診てもらえたら、安心はしますよね。だってその人は(すでに痛みを乗り越えた)経験者か、対処方法が分かっている(から、大丈夫だと確信している)人だろうから。
似たような場面で、「もう!なんでそんなとこ登ってんの!?」「そんなとこ登ったあんたが悪いんでしょ!」と責められている子を見たときは、他人事ながらほんとーに辛かった。
例2)おもちゃの取り合いになった時
1 両者それぞれに共感します
「(和美に対して)あらあら、和美、ねーさんがオモチャとっちゃったね。和美も使いたかったのにな。無理やり取られたらやだよな。」
「(恵美に対して)でもなー、恵美だってこれを使いたいんだもんな。これ、大好きだもんな」
2 原因を考えます
「で、どうして取り合いになったんだろうね?2人で使ってたんじゃないのかい?恵美が先に使ってた?それを和美が引っ張ったって?あー、それで取り合いになったんだね。」
3 解決方法を考えます
「じゃ、どうしたら良いと思う?2人で一緒に遊ぶかい?それとも、恵美が使い終わったら、和美に貸してあげる?(恵美が返事をする)よし、じゃ、まず恵美が使って、終わったら和美に貸してあげるんだね。和美もそれで良いかな?」
4 改善方法を考えます
「人のオモチャを使いたかったら、なんて言うんだったっけ?『貸してください』って言うんだよな。」
映画「ショーシャンクの空に」で、モーガン・フリーマン演じるレッドが刑務所で「ここじゃみんなが自分は無実だというぜ。」と言う場面がありました。子供のケンカの原因は、多くがモノの取り合いです。そしてたいていは、どちらが加害者かはハッキリしています。ですが、ショーシャンクの罪人同様、子供の加害者にも言い分があるものです。その言い分に共感することで加害者ともつながりを持ち、話し合うことができるようになります。逆に共感がなければ、加害者は心を閉ざしたりして、問題の解決や再発防止につながりません。
余談ですが、こういう場面でよく聞く「仲良く使おうね」「仲良く遊ぶんだよ」のような「仲良く」というのが、とーさんはあまり好きではありません。集団で遊ぶ時には、決まりやマナーを守れば十分で、別に仲良くする必要はないと思っています。「仲良く」なんて、人に言われてするものではなくて、仲良くなった人と仲良く遊べば良いでしょう。「仲良くしなさい」なんていう言い方は、心の中まで縛りつけるようでどうかと思ってしまいます。
それと、「仲良く」遊ぶというのは具体的にどうすることなのかわかりにくいです。具体性のない指示は子供を混乱させ、心も行動も縛り付けてしまいます。
これまでとーさんは多くの問題にこの順序で対処していますが、今のところ上手く行っているように思います。なんにしても、まず共感することですよ。共感して子供とつながりができれば、問題への対処方法や解決方法なんていくらでも見つかりますから。