娘へ

あなたはこうしてできています

学びは「教える+経験させる」

人間の記憶は意味記憶とエピソード記憶の2つがあり、お互いに作用しあって相乗効果を生みます。なので、何かを学ぶ時、「教え」とともに「経験」もするとより効果的に学ぶことができます。

ワインを飲んだ時に「このワインは、さわやかなパイナップルの香りが特徴的です」とソムリエに教えてもらったら、ワインを飲んだだけ、特徴を聞いただけの時よりも、はるかに長く鮮明な記憶が残ります。

とーさんは子供に決まりを理解して守らせるため、何度も言い聞かせるだけでなく、場合によっては決まりをそっと破らせ(そして失敗させ)ることもあります。

 

数日前、恵美が滑り台で転んで、下に落ちました。そして、あごをぶつけてアザができました。2日経った今も、まだ痛々しく残っています。

かなり痛かったとは思いますが、滑り台の下の方で転んだので重傷ではないでしょう。

(本来は座って滑る)滑り台で転ぶというのもおかしなものですが、恵美が滑り台の下から逆向きに登っていて、上から滑ってきたMちゃんに足をすくわれたというわけです。恵美と友達2人が滑り台を上から下からゴチャゴチャと入り乱れて遊んでいたので、起こるべくして起こった事故です。

Mちゃんは、ただふつうに上から滑ってきただけでした。なのに、Mちゃんが(直接ぶつかったということで)ママさんからひどく叱られる(そして泣く)という、なんとも申し訳ない結末になってしまいました。Mちゃん、Kママさん、ごめんなさい。悪いのは下から登った恵美と、それを止めなかった私です。

 

 

さて、滑り台は本来、下から逆向きに登るべきものではありません。場所によっては、そのように注意書きがあるところもあります。恵美にも3歳近くまではそのように言い聞かせ、その決まりを守らせてきました。「滑り台は、上から滑るんだよ。下から登ると危ないんだよ。」と。


しかし、あのツルツルした坂道を下から登るというのは、ちょっとしたチャレンジで面白いものです。そもそも「登る」ということ自体、子供にとっては魅力的な遊びですよね。で、公園やプレイセンターに行くと、元気な男の子らは滑り台を下からバンバン登ってくるわけです。

それを羨ましそうに「やってみたいな・・・」という目で見ていた恵美。いやいや、いかん。決まりは決まりですからね。そう思って、決まりのラインを踏み越えようとする恵美を何度も「こちら側」に引き戻したものです。


そうしながらも、とーさんの中では葛藤がありました。

「決まりはわかる。逆に登ったら、危ないこともあるよね。でも、たまには登ってみたって、良いんじゃね?面白いよ?俺だって子供の時は、そうやって遊んでたもんだよ。」

公園に誰もいなくて滑り台が貸し切り状態の時は、さすがに「登っても良くね?」と思いました。が、2歳の子供には決まりの例外やグレーゾーンは理解しにくいだろうから、バカバカしいなと思いつつ我慢して決まりを守ることにしていました。


でもね、決まりを1から10まできちんと守るって詰まらないですよね。

決まりのラインの外側に踏み出したことのある人って、魅力的だったり大人っぽかったり、世の中のことをより良く理解している場合が多い気がします。そして、どうしてその決まりが必要なのかも理解しています。火傷をしたことがある人は、火の恐ろしさや火の上手な扱い方がわかります。おもちゃを壊したことのある人は、何をどうしたら壊れるのかがわかると同時に、どこまでは壊れないのかも理解します。だから、ギリギリ限界の無理な(そして面白い)使い方ができたりします。

決まりの内側にいる限りは安全ではあるのですが、ずっとそこにとどまっていることが子供にとってプラスになるとは、とーさんにはどうしても思えません。

 


で、

滑り台を逆に登るの、解禁しました。

 


と言っても、積極的に「さー、どんどん登りましょー!」という訳ではありません。とーさんは前と変わらず決まりのこちら側に立っています。ただ、そこから、滑り台を逆流する恵美を見て見ぬ振りをすることにしました。

 


そしてさっそく恵美は、足をすくわれ、転んであごを強打、落ちて号泣、となったわけです。

マンガのように分かりやすい展開でした。


号泣する恵美を助け起こして抱きかかえ、

「痛かったねー。転んであごをぶつけたんだもんな。痛いよなー。ばんそうこう貼って、後でかーさんにフーフーしてもらおうな(そうすれば治ると思っている)。」と共感して慰めてから、一言、

「な。下から登ると、面白いんだけどさ、危ないんだよな。」

 

前にも書きましたが、とーさんの役目の1つは、「安全に失敗をたくさんさせること」です。この失敗で、恵美は1つ学びました。

 

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