娘へ

あなたはこうしてできています

明るさはジョーカー

髪をばっさりと短く切った日、3度も中国人に中国語で話しかけられました。そんな刈り上げのおっさんのブログは、こちらになります。

 


とあるの朝ごはんでのこと、和美がいつもは食べているブロッコリーとカボチャを、テーブルの上で手でグチャグチャしていました。「いらない!いらない!」と。理由はわかりませんが、何か虫の居所が悪かったのでしょう。気が向けば食べるのに、皿ごとひっくり返してしまいそうな勢い。

さあ、とーさんの出番です!

「よーし、じゃ、とーさん食べちゃおっかなー!?わー、ブロッコリー美味しそ〜!和美、ありがと〜!いっただっきまーす!」

すると和美は

「食べる!食べる!」

パクパク食べて、ごちそうさまとなりました。

 


別の日のことです。そのころ恵美のトイトレは、出口の見えない泥沼にはまっていました。思いつく限りのアイデアを試し、人からアドバイスをもらい、それでもなかなか抜け出せずにいました。

そんなある日のこと、恵美の前回のオシッコから2時間以上が経ち、そろそろ次のオシッコが出るタイミングになりました。「出ない、出ない!」と言う恵美を、かーさんはトイレに連れて行きました。オシッコはだいたい2時間ごとだったので、今すぐ出そうではないにしても、踏ん張れば出るくらいの貯水量はあったはず。

しかし、嫌がる恵美はトイレで集中できず、次第にかーさんと恵美はトイレの中で険悪な雰囲気になっていきました。数分後、(中略)かーさんは怒鳴る、恵美は泣く・・・、これはいけませんよ!

さあ、とーさんの出番です!

「あっるっこ〜、あっるっこ〜、わたっしは〜げーんき〜!」

台所にいたとーさんは、トトロの「散歩」を元気に歌いました。

険悪な雰囲気が明るくなることはありませんでしたが、それ以上は血を見ることもなく静かに終わりました。

 

 

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「明るさはジョーカー」だと、炎の講演家・鴨頭嘉人氏が言っていました。「これだ!」と思いました。とーさんは前々から、何かあったら元気に「散歩」を歌うぞ!と密かに決めていたのですが、彼のこの言葉はとーさんの考えをピタリと正確にわかりやすく、しかも印象深く表現しています。鴨頭さんは言葉を選ぶのが本当に上手い。

トランプには様々なカードがあり、ゲームで相手に勝つためには相手よりも強いカードを切らなければなりません。

そんなカードの中において、ジョーカーは異彩を放っています。ジョーカーは、すべてのカードを圧倒して勝ちます。しかも、ジョーカーは戦いません。戦わずに勝ってしまいます。戦わずに、その場を全て収めてしまうのです。

 

もしもとーさんがより強いカードを出したら、相手はもっと強いカードで対抗してくるでしょう。そしたらとーさんは、さらに強いカードを出すことになります。戦いはエスカレートして、みんながどんどん傷ついていきます。

大きな声で叱りつけたり、力で人やモノを引き離したりといった方法は、突発的な紛争を解決するために手に取りやすい武器です。でも、お互いにダメージを受けるので、その方法は避けたほうがいいです。

正論を突きつけるのも、あまり上手い方法ではありません。紛争になっている時点で当事者は感情的になっているので、話を聞き入れる気持ちの準備がありません。メンタルをロジックで切ってはいけないんです。(だからとーさんは、「まずは共感せよ」というわけです。)

いつかまた紛争が起こったら、あるいは当事者になりそうになったら、イラっとする気持ちを抑え、正論もグッと飲み込み、大きく深呼吸をひとつしてから、明るく元気よく「散歩」を歌いますよ。満面の笑みで、ブロッコリーも食べますよ。

 

明るさはジョーカーです。ジョーカーは、いつでもどこでも何度でも使えます。お金もかかりません。とーさんはこのカードを、いつもポケットに忍ばせておこうと思います。